「ほかならぬ人へ」 白石一文

ほかならぬ人へ

ほかならぬ人へ


読みながら著者は女性だろうかと思っていた。
何気なくでてくる居酒屋の食べ物の描写などが
なんだかおいしそうだし、女性の気持ちや描写の仕方なんかが・・
でもその後著者の記事をどこかで見つけて男性とわかり少し驚く。


かけがえのない人をテーマにふたつの作品が収められている。

最初は名家の三男で、親も兄弟も学歴もあり立派なのだが
自分だけ落ちこぼれの男性が水商売出身の若くて可愛い女性と結婚するが
彼女には幼馴染でわすれられない男性がいた。
職場で彼は上司の女性に相談する。彼女はブスだが仕事ができて
なかなかの男前で、彼女といると自然な自分でいられると感じる。
彼女はバツイチで、今は直っているがガンの既往症がある。
やがて彼女は彼にとってかけがえのないひとになっていくが・・・


もうひとつは、会社ではみんなのうらやむような素敵な男性と
結婚が決まった女性が、昔の不倫相手だった元上司とよりが戻り
彼に黙って付き合っていくようになる。
彼とはセックスだけの関係に思えるのだが、経営の傾いた会社で
その責任を負うようにやめていく彼を忘れられなくなり・・


お互いにとって一番大切に思いあわなければ
その相手は間違った相手だというのは、分かるような気もするのだが
このお話自体は「すごく感動」とか「おとなの恋愛」って風には
ならなかったな。
この著者のお話はこんな感じの恋愛ものが多いのだろうか?