「交渉術」 佐藤優

交渉術

交渉術


読み応えがあって面白かった。

意外だったのは、橋龍はまだしも、小渕、森の前総理達が
ただのぼっとした政治家かと思いきや、北方領土もんだいや
ロシアとの交渉で力を発揮したり、がんばっていたこと。
やはり政治家ってすごいだなと感心した。
もちろん鈴木宗男もだ。彼もすごい政治家だったんだ。
日本は政治家の底力を軽視する傾向にあると著者も書いてあるが
本当にその通りだと思った。もったいない。
政治家って本当はすごい人たちだったんだと知ったのがこの本の
一番の収穫か。


官僚達の裏の場面とかも面白い。
やはり彼らの目は内に向かっているだな。
佐藤自身が何度も言っているように、官僚の良心は出世らしいから
出世してはじめて自分の理想の仕事ができるというのもあるのだろうが。


インテリジェンスに関しても面白かった。
スパイにさせるにも、窮地に落としいれ、そこを助けると協力させやすいとか
「嘘をつくな」ではなく「正直に行こう」というとか。
裏ではいろいろやらざるをえないことも多いんだろうなと
想像に難くない。


米原万理さんとの会話で「外務省はCIA,KGB並の諜報能力をもっているのに、
どうして本業で使わず、自己保身や内部抗争のために使うのかしら」とあり
驚く。それは外務省が自己保身に走るということでなく、その諜報能力の高さに(笑)


佐藤の上司で東郷という親子3代で外交官のおぼっちゃん官僚がいる。
彼も今回の宗男事件で失脚されられたようだが
すごく優秀でかっこよく描かれていて興味を持った。
彼は部下にも必ず敬語を使って話し、これも上司としてのポイントらしい。
私には見習えないけど、気をつけよう。