「無痛」久坂部羊

無痛

無痛


相手を見ただけで、病状や進行具合までわかってしまう
2人の天才医師、白神と為頼。彼等の共通点は
直る見込みのない患者を他病院に転院させることだった。
ただし為頼は賄い兼看護師のおばちゃん一人しかいない
診療所をやっており、片や白神はホテルのような快適空間を
提供するセレブ専門の病院を経営していた。


あるとき教師一家惨殺事件が起こる。
精神障害施設施設で心理カウンセラーとして働く菜見子は
入所者の14歳の少女がその犯人だと自白したと
為頼に相談に来る。彼女はそんなことはないと思ったが
彼に見て欲しいという。
彼は数日前に犯行を起こす直前の通り魔を見つけ
菜見子親子を救ってくれていた。
そして犯行を起こす人間は見ればわかるというのだ。


一方白神の病院では尖頭症で知的障害を伴うイバラを
雇っていた。彼は生まれつき痛みを感じない無痛症でもあった。
白神の治療の甲斐もあり、知力は回復してきた。
そして白神は彼に人体実験を繰り返していた。

心神喪失で犯行を犯すと罪を免れることに強い疑問をいだきながら
捜査にあたる刑事早瀬。そして元妻の菜見子をストーキングする
元夫の佐田。

そして少女は失踪した。


見るだけで病状がわかるというのは胡散臭いと思ったが
本を読んでいるとすごく真っ当なことのような気がする。
そして怖かったのは、凶悪な犯罪を犯す人が眉間がM字型が
妙に盛り上がって犯因性を示す外観があるということ。
それって本当!?


次々と残酷で怖い事件が起き、ヒーローからは遠い感じの
くたびれた中年医師がその中心で解決に向かっていく。


とても面白い本だったが、最後が唐突に終わり
「え、終わり!??落丁??」とじろじろと本を見た。
続きはでるのかな?