- 作者: 矢口敦子
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2003/06
- メディア: 文庫
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かつて熾烈な出世抗争に身をおいていた脳外科医の日高。
家庭を顧みないことで息子を亡くし、それを苦に妻も自殺。
昔自分が救ったと思っていた患者の衝撃的な死。
今はホームレスとなった男が暮らす所は
医者になったばかりの頃、小さな子供の命を救った街だった。
小さな子供は今は中学生になっていて
偶然出会い、日高は過去のことを名乗らないまま
ふとしたきっかけで話をする仲になっていく。
東京郊外の街で車椅子の女性、ホームレス、老人など
弱者ばかりを狙った殺人事件が相次ぐ。
思いがけず事件や警察にかかわっていくうちに
犯人像に思い浮かんだのは・・・
日高が犯人に疑惑を向け始める少し前から
読者は「もしや犯人は」と思う仕組みになっており
どきどきしながら読み進める。
そんな救いのない終わり方はいやだと思っていたが
最後はちょっとほっとしたような・・
でもそれぞれに深い闇や悩みを抱えている登場人物たちのことが
最後には暴かれていくのがちょっとやるせない。