「『出世』のメカニズム ジフ構造で読む競争社会」日置弘一郎

「出世」のメカニズム―「ジフ構造」で読む競争社会 (講談社選書メチエ)

「出世」のメカニズム―「ジフ構造」で読む競争社会 (講談社選書メチエ)


出世のメカニズムには何ら興味なかったが、
ジフ構造というものを勝間さんのサイトで知ってとても興味を持った。

この本は競争社会の仕組みみたいなものを書いているのだが
とてもわかりやすく説明されているが、私にはいまいち
頭に入りにくかった(笑)


上の職位が下位の職位より能力を必要とするとは限らず
上位の職位は高い能力よりも多くの種類の能力を要するとか
という話は幹部候補にいろいろな職種を経験させるというのは
意味があるのだなと思ったりした。


特定集団の中の能力は潜在能力では正規分布をすると思われるが
顕在化した能力は必ずしも正規分布をしないなどはハッとさせられる。
つまり能力とは関係なく出世しやすい人というのはいるのだ。
私の会社でもなぜ出世しているのか分からない人が
たくさんいて不思議だったがこれを読むと納得できる。
能力ではなくアピールというか要領というか・・
そしてジフ構造ができてくると少数の大変有能な人以外は
みんなどんぐりの背比べになる。その中からたまたま選ばれて
出世したダメ上司はまた同じように行けてない誰かを次の後釜に
すえてダメ上司がまたダメ上司を作っていくという仕組みも
なるほどと思った。


ちいさなきっかけで始まるジフ構造の正のフィードバックに乗るには
もちろん優秀ということが大切だが、実は集団で目立つこと(たとえば
名前が変わっているとか)があるだけでも、フィードバックが働き
ぐんぐんと周りを引き離すきっかけになったりもするらしい。
実際にいくつかの学会の名簿には変わった名前率が高いと言うことだった。


ジフ構造は表と裏でも同じように発達していく。
集団はある次元で切ると多くは能力を顕在化している何人かのグループと
能力を潜在化している平均的な大多数、それに反対方向に能力を
顕在化しているグループに分けて考えることができる。しかも
その能力・反対の能力を顕在化している中にはそのグループの
中のチャンピオンがいて強烈にそれをアピールしている。


ジフ構造はできてあがると安定して位置が変わることは
あまりないので、関係性を変えたい場合は
集団のメンバーを入れ替えたりする必要がある。
やはりどんぐり状態の人たちはやる気がなかったり
停滞を招くので、組織の活性化のためには必要だと言う。
ということは会社が定期的に異動をさせたりするには
意味があるということなんだと知った。