「静かな爆弾」 吉田修一

静かな爆弾

静かな爆弾


耳の聞こえない響子と公園で出会い、
いつしか恋人同士になってから俊平は音やうるささが
やたらと気になるようになり、また音がないゆえに
すべてを言葉で伝えなくてはならない響子との
関係で、あらためて言葉というものを考える。


人間は言葉が大切というけれど、やはり言葉以外での
コミュニケーションというのはかなりあると気付く。
音が聞こえない世界では、目は見えても、視界に入るもの
以外は「気付く」ことができないので、当然のように
普段は「察する」ことができるものもできない。
言葉だけですべてを伝えていこうとすると
とてもあからさまな感じがするものなのだな。