「単独飛行」 ロアルド・ダール

単独飛行

単独飛行


短編の名手、ダールの自伝青年編。
手嶋龍一の本の中にこの本の記述があり興味を持つ。


彼がシェルの社員としてアフリカに向かい、その後
戦争でRAFのパイロットとして活躍した日々*1を描く。
そのときに出会った主に風変わりな人物達は
とても興味深く、ちょっと前の時代なのにすごく
自分とはかけ離れた古きよき時代を感じる。


ダール自身が育ちのいい、素直で健やかでユーモアのある
好青年で読んでいて気持ちがいいし、楽しい。
主に翻訳者の日本語が心地いいのか、ダールの文を
上手に雰囲気を持って書いてくれていていい。


最後はイギリスに帰郷して、やっと母親に会えるところで
終わるのだが、なんてことはない記述にもちょっとジーンとしてしまった。
解説を読んで、「チョコレート工場の秘密」の人と知ってびっくり。
そういえばこんな名前だったよな。
でも「少年」が次は読みたくなった。

*1:当時のドイツ軍の装備のハイテクアンド数的優位の圧倒を考えるとなぜドイツが負けたのか不思議