「パレード」吉田修一

パレード

パレード


ゆる〜い大学生良介、若手俳優と付き合っており彼からの電話を待つだけの
日々を送っているぷーたろうの琴美、彼女の友人で雑貨店店長でお酒好き
自称イラストレーターの未来、映画配給会社に勤めるリーマン直輝、
その4人で一緒に暮らすマンションにいつしかもぐりこむサトルは
新宿で売りセンの18才だ。


それぞれが現在や過去に問題や悩みを抱えながら、
でも一緒に暮らし、時に馴れ合い、時に甘え、時に放置し
毎日を過ごしていく。そんな中近所で女性が襲われる暴行事件が発生する。
襲われた女性達は顔の原型がゆがむほど石で殴打されていた。


平凡な日常のちょっとした事件を楽しんだり、彼らの程よい距離感が
心地よい群像劇だと思いながら楽しく読んでいたら
最後にとんでもないことになりずっしりとした気持ちで終わった。
あれはどうしてなの〜?


それにしても吉田修一はちょっと悲哀のおかまの描写がうまいな〜。
彼の物語にでてくるおかまは見た目はごついおっさんでも
心優しい人が多い。私の周りのおかまとはちょっと違うわ!


でてくる風俗(カラオケの歌やらドラマやら)がなんだか昔で
私の世代にぴったりで懐かしい。

ところで電車のない地域から引っ越してきた男の子が
電車の中で移動している人がどこに行っているのか不思議に思っていた
という話は考えたことも不思議に思ったこともなかったので新鮮だった。