「踊るイタリア語 喋るイタリア人」 松本葉

踊るイタリア語 喋るイタリア人

踊るイタリア語 喋るイタリア人


この本はラジオのイタリア語講座のテキストにあったコラムを
まとめたものらしく、イタリア語に関する話がおおいが、
イタリア人のおおざっぱで大げさで明るく楽しい体質が
とても楽しめるエッセイで、すごく面白かった。


イタリア人は形から入るのが大切と考え、彼女の夫もたいして泳げなくても
競泳用の水着にゴーグル、キャップとキメキメでプールは入る。
このスタイル重視主義(かっこつけ)はかっこ悪いと考える著者だったが、
イタリア語だってうまく聞こえる言葉を入れりゃ〜うまそうに聞こえると言われ
教えられた超簡単な合いの手の言葉をやたら挟みながら話したら
みんなにイタリア語がうまくなったと言われたと感激する。
そこで意外に形は大切なんだと私も気づかされたのだが、
そんなことですぐにうまくなったと勘違いするイタリア人もどうなんだ。


また内側から鍵を指したまま外出して、家に入れなくなったときに
友人のアドバイスを受け消防署に連絡して助けを求めたら
巨大なはしご車に15人も乗って高らかにサイレンを鳴らして参上して
腰を抜かした著者が「まさかこんな形たくさん来るとは・・・」と言ったら
「どちらもあいていたもので、つい・・」と言われた話は大笑いした。


またイタリア人の会議風景を視察した彼女は、みんなが好き勝手なことを
同時に喋りまったく収集がつかないと驚いていたら、
社長が「ではこれでいきましょうFacciamo cosi?」というと
みんなが「いいでしょう Va bene」と言いあっさり終わった。
このアルゼンチン人の社長曰く、話がまとまってこれでいいと思ったら
間髪いれずにファッチャーモコスィって言うと、イタリア人は自動的に
Va beneと答えるという習性を発見して彼女にも教えてくれた。
イタリア人は何が何でも我を通すタイプかと思えばああ見えて協調性が
あるのでちゃんとまとまるという。
この話も笑っちゃうが本質をついているんだろうと関心する。


ほかにもイタリア人の愛すべき性質、そして著者の愛すべき日々が
楽しく綴られていて、私もイタリア語が勉強したくなった。