「邪魅の雫」 京極夏彦

邪魅の雫 (講談社ノベルス)

邪魅の雫 (講談社ノベルス)


榎木津に舞い込むお見合い話。最初は先方も乗り気のようなのに
必ず会う前から断られ続ける。釣書だけならパーフェクトなはず。
不審に思った彼の叔父が、榎木津事務所の益田に調査を依頼。
関口と共に調べるうちに、毒薬を使ったと思われる連続殺人がおき、
榎木津の見合い相手の家々からも被害者が出て行く。


今回はエノさんの過去の女性関係の話が出てきたので、
興味津々だったが、いまいちアンニュイ路線の探偵はさみしい。
彼の最後の言葉「僕は君が嫌いだ」の意味が知りたくて
あちこちのサイトの書評を読み歩いたが、
やはりいろいろな人が入り乱れ、話が複雑だという感想に安心。
私は京極堂を読むと、途中、登場人物や関係性が
わからなくなったりしてメモを取りながら読みたい気がするが
ほかの人にとってもそうだとは安心。


京極堂とエノさん、関口の友人関係では、関口が庇護の対象で
あとの二人は対等な感じがする。エノさんのことは京極堂
バカにしたり、あきれたり、突き放したり
ベタベタした友情ではないが、京極堂もエノさんを大切に
思っている様子が今回は特にひしひしと感じる。
そして犯人はもっと嫌な感じの悪い人かと思ったが
思ったよりまともなところもあり、エノさんのためにも安心。
連続殺人も玉突き事故のようという表現には読後納得。
環境が整うとしなくてもいい殺人もつい手が出てしまうのだろうか?


京極堂シリーズは順番に読み終えたつもりだったが
一作抜けていたことが発覚。
また読まなくては。