「きつねのはなし」 森見登美彦

きつねのはなし
ナツメさんという女性が病気の母親の代わりに営む
京都にある小さな骨董屋「芳蓮堂」でバイトをしている
学生の武藤。彼はある日お得意先の天城を訪ねる。
天城は薄暗い竹林に囲まれた屋敷で、本人もどこか
生気がなく不気味な印象だ。ある日自分のミスで
壊してしまった売り物の代わりを都合してもらったことを
きっかけに、次々と恐ろしいことが起こりだす「きつねのはなし」


18才の私が出会った当時22歳だった大学の先輩は
青森の大地主の息子で、半年間シルクロードを旅したり
話も面白く謎めいてもいてとても魅力的だった。
彼は部屋を2部屋借りており、一部屋は書庫になっている。
私は先輩の下宿に入り浸り、本を読んだり、先輩とその彼女と
食事をしたりしてすごしていたが、
ある日思いがけない先輩の真実を知る「果実の中の籠」


家庭教師をしている家庭の近所で、夜毎に人が襲われているという。
近所で夜回りをすることになったが、どうやら犯人は人間では
ないらしいと噂になった。まるでケモノのようでもあり
正体不明の魔物を探す「魔」


祖父の通夜に行くと、なくなった祖父の家宝を預かっているという
骨董屋が訪ねてくるという。集まった親戚たちは品物に思い当たる
ものがなく、昔話をしながら待っているうちに、
だんだんと水にまつわる不思議な話が次々と出てくる「水神」


どの話も興味深く面白いのだが、出てくる登場人物が同じでも
少しずつ役割や立場が変わっていたりして、
読んでいて混乱する気がする。
なんとなく不気味で怪しげで、でも日常的なのんびりした所が
よくはあるのだが・・