「温室デイズ」 瀬尾まいこ

温室デイズ
小学生のときにいじめにあい、転校した美しい優子、
そのときにいじめ側にいたみちるは、中学では仲良しになる。
みちるの幼馴染でやくざの息子の瞬。
だんだんと荒れていく学校の中で、あるときから
みちるがいじめの対象のなり・・


今回の彼女の作品は意外にも「いじめ」を扱っていて
ちょっとヘヴィーな内容になっているが、淡々と進む。


いじめというのは、オセロをひっくり返すように
ある日突然に簡単に標的になるものだなと思う。
小学生の優子も強くいじめに耐え、そしてみちるも
執拗ないじめに屈せず、くじけそうになりながらも戦っている。
みんなが一目置く瞬も、じつは崩れそうな心を支えきれずに
悩み、さ迷っていた。


ところどころに出てくる大人が、あまり力んでなくて
自然体の様子がとてもいい。
教員志望だったのに、校内暴力対策職員のような形で雇われて
心外ながら働いている吉川(そしてあまりがんばらない)や、
カウンセラーの若い女性も、とても力が抜けていて
なんとなく心の壁をさっと越えてくる。


それにしても、不登校児用の施設とか仕組みって
思った以上にいろいろあるのだと感心。