「刺繍」 川本晶子

刺繍
うんと年下の男性敏男と付き合っているエリ。
結婚も考えずに気軽な付き合いで家族とも打ち解けていたが、
ボケ始めた母がどうやら彼に恋をしているらしい。
母の看護の手伝いを兼ねて同居が始まった。


読んでいてずっと涙が流れていた。
まず痴呆の母親のことは人事と思えず胸が痛い。
そして敏男はすこやかでやさしく胸が詰まる。
エリが40歳の誕生日に浮気をする相手も
なんだか不吉なことの暗示のような気がして
ドキドキしたが、浮気相手も穏やかで癒し系。


母親の状態とともに少しずつ敏男とエリの関係も動くのだが、
家族としてあるべき状態に穏やかに収まっていくので
幸せな気分で本を閉じられた。

とてもいい本だった。