「不美人論」 藤野美奈子  西研

不美人論
美人は生まれながらにいかに優遇され、現代の貴族状態、それに比べてブスはハンデがいっぱいでいかに大変かということが繰り返し説かれる本。


読んでいて具体的の有名人名を出して、彼らのことを話しているのが、かなりきつ意ことを言っていて、ハラハラしてしまった。そんな中でもやはり緒方貞子は別格扱い。彼女は明治の元勲のような落ち着きと大物ぶりを感じるらしく、これも納得。


身障者などにはポリティカル・コレクトな言い方などがあるが、ブスとおかまには差別してはいけないという社会コードがないというのは、初めて気付く。そのうちできるのかな?もしくはアメリカではあるのか?


読んでいて身につまされたのは、「一般に仕事で第一線にいる女性のなかには、妙に人に厳しい人が男性より多い感じ。仕事に厳しいというより、他人を許容しない厳しさ」というところ。別に私は第一線というわけではないが、働く女性としては感じるところも多い。さらに「女の人は、いい年になっても若者みたいにずけずけものを言う人が多くない?」とあるのだが、これはちょっと思い当たり、深〜く反省。


人間の欲望の基本は二つあり、ひとつは「愛されたい」=「かわいい自分でありたい」、「ほめられたい」=「かっこいい自分でありたい」(人として立派に生きたい)
これは「役割関係の快」と「愛情関係の快」らしいが、なかなか両立は相容れない要素もあり難しいのだろうと思われた。なぜなら「可愛い」ということは、往々にして「幼い、拙い」という要素と密接に結びついているから、それは「かっこいい」(しっかりしてる、頼りになる)とは対立してしまうような気がする。