「眠れぬ真珠」 石田衣良

眠れぬ真珠
厨子に住む45才の女性版画家咲世子は仕事も順調で、銀座の画廊の雇われ支配人の男性と長く不倫もそこそこ幸せだ。ある日いきつけのカフェで映像作家を目指す17歳年下の青年素樹と出会う。彼は東京で挫折を味わい生きる方向性を失っているようだった。咲世子もまた不倫相手卓治の別の愛人からストーカーのような嫌がらせを受け始めていた。咲世子のドキュメンタリーを撮りたいという素樹の撮影に付き合ううちにふたりは惹かれあって付き合うようになるが・・


咲世子はおしゃれな厨子に住んでいるし、版画家なんてこれまたおしゃれだし、同年代からもすごい年下からももてて、自立した女性なんだけど可愛いところもありなんて完璧すぎる。自分が若くないと思い知らされる描写がこれでもかってくらい出てくるが、肌のしみやたるみとかではなく、髪のつやってところが泣ける。確かに綺麗な髪の大人って少ないのよね〜。でもこれだけ科学が発達しているのだから、もう一息で美しい髪も手に入れられるかしら。


最後は私の想像がうれしい方向に裏切られて満足だったが、トータルではもっと苦しいほどの切なさとかあったほうがよかった。ちょっと物足りない読後感だった。