「犬のしっぽを撫でながら」小川洋子

犬のしっぽを撫でながら
愛犬や好きなタイガースのこと、数学やアンネ・フランクの家を訪ねた話などを集めたエッセイ集。


小川洋子は彼女の小説と同じ優しい雰囲気のするエッセイを書く。育ちのいい大人といった感じで読んでいても穏やかで優しい気持ちになる。数学に関しても素人にわかりやすく美しさを説いてくれており、興味が引かれる。


彼女の作品をフランスで出版しているアルルにある出版社はとても小さいが志も高く、社長夫妻も生活を豊かに楽しんでいる。その様子はなんとなく須賀敦子のコルシア書店を思い出し、彼女の作品も著者の美しい人柄を表しているように、小川洋子に関しても同じようなすがすがしい印象を受けた。彼女の作品はどの国でも受け入れられそうなものだが、フランスで出版されたというのはなんとなく嬉しい。


ところで、タイガースファンのある落語家が「負けた日でもスポーツニュースを見る、負けたと思ったのは自分の勘違いで、実は勝っていた、という事態が起こるかもしれませんから」と言った話が載っていたが、いい話だ〜(泣)。