「煙か土か食い物」 舞城王太郎

煙か土か食い物 (講談社ノベルス)
サンディエゴのERで働く医師四郎の元に、連続主婦殴打事件の被害者となった母親の知らせが届く。地元福井に急ぎ戻り、もと同級生たちとともに独自に犯人探しを始める。その途中で浮かび上がる家族の血と暴力の恐ろしく哀しい歴史。


クォーターで大臣まで勤めた代議士丸雄の4人の息子、一郎、二郎、三郎、四郎はみんな180以上の長身で頭もよくそろいもそろって腕っ節も強い。四朗に復讐しようと家まで押しかけた奴らを二郎と三郎があっさりと返り討ちをするのが楽しい。
でも丸雄と二郎の確執が家族を変えていく。


暴力に走る二郎の描写がバイオレンシ〜な感じでゲッって思うが、そんな彼がピアノの調律を四朗に教えてくれたり、美しい容姿を持つ彼は情感豊かに俳優のように朗読をして四朗を酔わせたりする。二郎を慕う四朗に近寄ったかと思うと突き放して四朗を絶望させる。その相反する様子がまた彼を魅力的にも見せる。


最後の所はいまいちわかりづらいと思ったが(犯人と二郎の関係性とか二郎の気持ちとか)全体的に面白く一日で読みきってしまった。
英語がカタカナ表記になっているのがとても読みづらいが、この奈津川家はシリーズ物があるようなので、ぜひ読みたい。