「プラド美術館展」 

プラドと言えば、シドニー・シェルダンの小説か何かで、もっとも盗むのが難しい美術館と書いてあったのを思い出す。


最近凝っている音声ガイド付きで回ったので、色々と説明が聞けて興味深い。
スペインの絵画と言えば、「光と影」「緋色と黒」のイメージが強い。イタリア絵画の影響を案外と受けているようだった。


やはり一番目を引くのはティツィアーノの「アモールと音楽にくつろぐヴィーナス」(ヴィーナスとオルガン奏者)だ。色合いも美しくヴィーナスの宝飾品も華麗だ。同じ画家の「サロメ」も面白かった。
女性の衣装が宝飾品が綺麗なのは「美徳と悪徳のあいだの若者」(ベロネーゼ)などもそうで、美徳を体現する女性も清く美しいが、自分が若者だったら、悪徳の女性に惹かれるだろうな・・・


静物画の「花輪と風景の描かれたプレート」(アレリャーノ)は、同じ花の生けられた風景を同じ角度から描いたもので、一方は満開状態で、一方は枯れ始めている。なぜか非の打ち所のない花々を描いたものよりも、枯れかけている絵の方が目を引くのはなぜだろう。


それ以外ではファン・ダイクの「男の肖像」は男の着ている黒い絹の衣装の光沢が素晴らしく、メレンデスのボデゴン「風景のなかの西瓜と林檎」は迫力のある立体的な絵に圧倒される。ジョバンニ・セローディネの「若者を生き返らせる聖マルガリータ」もしばらく見入ってしまった。


スペイン王室の肖像画も多かったが、国力が弱ってくると衣装もフランス風になってくるのが興味深い。ある家族の肖像画で、小さな王子が当時の風習で女の子の着るようなドレスを着て描かれていた。風習って王子が暗殺されたりしないようにわざと女の子に見せていたりしていたのだろうか?