「一滴の嵐」 小島小陸

一滴の嵐
アルザスという複雑な土地に育つ鉛筆職人の息子エーミールが、お金持ちで金髪の美しい少年ウジェーヌと出会う。ウジェーヌは片足が不自由なだけで、それ以外は完璧に幸せな少年に見えた。ウジェーヌの父の男爵はエーミールの学費を払い一緒に学校に通わせることに。野心を持って勉強に励みつつ、ウジェーヌを守り大切にし反発をしながらストラスブールの寄宿学校での青春の日々を描く。

ウジェーヌの足は彼の不幸な過去の出来事によって怪我をしたもので、お金持ちでなんの不自由もないように見えても、複雑な家庭関係で思い悩むことも多い彼の心の支えになっているエーミール。エーミールにとっても人生は平坦ではなく悩みは多いが(そのいくつかはウジェーヌのことだったりするが)ウジェーヌのおかげで心が温まる。

寄宿舎でウジェーヌに無理を言って乗馬をさせるシーンがある。足の悪い彼は馬に乗るのも難しいくらいでかなりハラハラさせられる。その馬が走り出すシーンは落馬でもして大怪我するのではないかと緊張しながら読んだ。