「ナラタージュ」 島本理生

ナラタージュ
大学生になった泉に高校の時の演劇部の顧問だった葉山先生から電話がかかってて、人数の少ない現演劇部の発表の手伝いをして欲しいと頼まれて参加する。そこにはやはり卒業生で頼まれた元部員の黒川、その彼女で泉の友だちの志緒、そして黒川の大学の友だちで演劇をやっていた小野が参加する。だんだんとみんな仲良くなり、長野の小野の実家で4人は合宿することにする。小野に告白された泉は付き合うことにするが、泉は高校時代から葉山先生に特別な感情を持っていて忘れられないでいた。

黒川と志緒の関係もお互い信頼していて見ていてうらやましくなるいい関係だ。現役高校生の柚子と新堂の関係も最後に特別な意味を持つ。葉山先生と泉もいつもつながっているような離れようとしているような・・・
二人がどうしようもなく共感しあい、わかりあっているのに一緒にはいられない。

女性が母性本能をくすぐられるようなちょっとした男性の可愛らしいしぐさや様子の描写が島本理生はうまいと思った。それで葉山先生も魅力的に時々映る。

でも葉山先生と泉の関係は複雑でわかりづらいな。最後の最後に葉山先生の親友のカメラマンとたまたま知り合い聞いた話がちょっとした落ちになっているが、ますますわかりづらいと思った。