「古道具 中野商店」 川上弘美

古道具 中野商店
骨董というより古道具屋を営む中野さんは意外なことに女性にまめでもてている。たまに訪れる彼の姉のマサヨさんは50代半ばで独身だが恋人がいる。中野商店で働くヒトミ、同じくそこで働く、ちょっと年下で側に寄るとせっけんの匂いがするタケオとは近くなったり離れたり、恋愛のような違うような微妙に進んでいく。この四人と中野商店で扱われる古道具にまつわる物語。

川上弘美のお話に出てくる人々は動作がゆっくりとしていて、なにかをするのも「ていねいに」する。それが居心地がいい。なんか変な人もたびたびでてくるが、それも嫌な感じがしないで物語を物語らしくするのに役立っている気がする。

中野商店が「解散」さればらばらになったみんなが、偶然に再会をするシーンも穏やかで優しげでいい。