「恋文日和」

恋文日和 [DVD]
クラスで目立たない女の子が、見た目怖そうな男の子の意外に純情な内容のラブレターを拾ったことから、文通のようなものが始まる「あたしをしらないキミへ」、母親の恋人にレイプされ、家出同然の女の子といかにも健全そうな素直な男の子の交流を雪国を舞台に描く「雪に咲く花」、病気で急死した兄(玉山鉄二)の遺品を整理していたら、風俗で働く中国娘の恋人にビデオを届けて欲しいという遺言を見つけ、彼女を訪ねる弟(これはぎんぎん)の話「イカルスの恋人」、これらのお話の間に挟まりながら進む、「てがみや」という便箋を売る店の店員の恋を描く「便せん日和」の4つの恋文にまつわる短編集。

これも大森美香の作品(あたしをしらないキミへ)を目当てに見たが、どの作品も可愛らしく短くてもよくまとまったいいお話だ。

やはり大森作品のセリフはいいなと思わせる。なんてことはないのに素敵だなと思う。

使われている音楽もちょっといい。越路吹雪の「イカルスの恋人」、テンプターズの「神様おねがい」、エンディング曲の「恋文」ywolicaなど。

イカルスの恋人の中で公園のベンチでぎんぎんが寝ているところに、おにぎりみたいな顔の男の子の兄弟がボールをぶつけて謝りに来るシーンがある。この兄弟二人ともおにぎり顔ですごく愛らしくてよかった。

便せん日和の舞台は表参道にある「てがみや」という便箋、カード、ラッピングペーパーなどを専門に扱う店なのだが、本当にあの店はあるのだろうか?あったら受けそうだが。
店長(大倉孝二)に恋する店員の女の子は中越典子。家での妄想がすごくストーカーばりでちょっと引くが、お店では気の利くすごくいい女の子。あんな美人でいい子がなぜあんな店長にそこまで夢中になるかいまいちわからないし、店長もなぜ彼女に恋しないのかよくわからない。最後はいい感じで終わるので、まあいいけど。あと紫のレターセットを毎週買いに来る女性、なぜまとめ買いをしないのかがちょっと不思議だった。