「シーセッド・ヒーセッド」 柴田よしき

シーセッド・ヒーセッド

おまえ今、俺のこと、ケチなオカマ野郎とか思わなかった?
ほら、今は、どうせ俺は単細胞だよ、なんでいちいち俺に構うんだこのタコ、とか思ってるだろ?

と、すっかり練ちゃんに心を見透かされるくらいわかりやすい保育園の園長で探偵の花咲慎一郎のシリーズ三弾目。前回よりハードボイルド色が少し減り、お茶の間度ちょっとアップ?

事務所関係者しか知らないはずのアイドルの家にストーカーからと思われる無言電話や白紙の手紙が送り続けられ、その犯人探しを頼まれていると、今度は練ちゃんに呼び出され、家の前に「あなたの子です」とメモの付いた赤ちゃんが置き去りにされているから母親を探して戻せと無理やり頼まれてしまう。母親はイースト興業系の風俗で働く借金持ちの女という。しかもその間赤ちゃんはにこにこ園で預かることに。
なんとなく母親と本当の父親と思われる人を探し出し、一件落着、ストーカー事件も一応の解決(これはまだ本当の意味では新たに続くのだが)をみて、いよいよ保育園のたまった仕事を思っていたら、今度はノーベル賞候補の学者(しかもどらえもんの時計をしているオタク系?)から、ある女性の尾行を頼まれ・・

秘書の環が復活していた。そして凄腕の探偵おばちゃんのえっちゃんという新しいキャラが活躍して楽しませてくれる。本当にすごい人ってこういう普通に見える人の中にいるんだよなと感じる。

新宿の風景にハンズや高島屋で出てきて、以前の作品と違って、現在を感じさせるが、「オレンジカード」が小物で出てきて、やはり時代をまた感じてしまった。

最後に気になったのは、本当の父親は果たして誰だったのか?と言うこと。ちょっと含みを持たせるようなことも書いてあるし。それに親子鑑定は不要と言っていたのに、突然「事情が変わった」とやはり練ちゃんがやりたがったのも不思議だ。やはり体の具合が悪かったのかしらと思ったりもして・・・
または麻生さんと何かあった?彼はこのシリーズに出てこないので寂しいわ〜。