「月魚」三浦しをん

月魚
由緒ある古書店「無窮堂」を目利きだった祖父から引き継ぐ真志喜、「せどり」だった父親が無窮堂の祖父に気に入られ頻繁に出入りすることになり真志喜と仲良くなった瀬名垣。小さな頃から仲のよかった二人だが、真志喜の父親が捨てようとしていた古書の中から伝説の書ともいうべき本を瀬名垣が見つけてから、いままでの無邪気な関係ではいられなくなった。その書に気付かなかった真志喜の父親はショックを受けて家を出てしまい、この事件はふたりに罪悪感や負い目を感じさせ大人になった今もトラウマとなる。今は自分も古書を扱う仕事をしている瀬名垣がある田舎の旧家に買い付けに行くのに、真志喜に付き合ってもらうことになったが・・・・

この本は本屋で立ち読みしたおもしろい本を紹介する雑誌に複数人がこの作品をあげていて興味を持った。彼らの職業が古書店ということもあり、ちょっと昔のような時代感がある。(果たして現代の話なのか昔の話なのかはいまいち判断できなかった)
BL小説のような感じでもあるのだが、どぎつくなくてさわやかだ。柔らな猫毛の真志喜の髪を何かにつけて瀬名垣が触る描写もほほえましい。