「聖なる黒夜」柴田よしき

聖なる黒夜
最初は二段の厚い本なのでひょ〜と思ったが、一挙に読んでしまった。

あるやくざの時期頭と目される大物韮崎が殺され、捜査一課の麻生が駆り出される。捜査の途中で昔、婦女暴行未遂で自分が逮捕した山内練と出会う。以前の印象は内気でまじめそうな青年だったのに、あまりの変貌振りに彼は驚く。初犯だったし、執行猶予がついて終わると思っていた件だったが、実は実刑を受けて服役をしていたと知る。心に引っかかるものがあり調べるうちに誤認逮捕だった可能性がでてきて・・・

オブケなど警察用語がちらほらと出てきて、ちょっとわかりづらい気もしたが、警察の内側がとても詳しく描かれていて驚いた。そして出てくる男たちが簡単に男同士でセックスをしだすのもびっくり。セックスまでは行かなくてもキスしたり、触ったりなどは、ゲイでなくても抵抗なくやっている。そしてウリセンの男の子たちはノンケが多い(ゲイのように好みにうるさくないから)とか、ホモの中でもデブ専とかジャリ専とか好みがあるほうが上等で誰でもいいダレ専は軽くみられるなど、いろいろあるのね〜と思う。
若くて女顔の練は服役中同じ房の男たちのセックスの相手をさせられることが多かったが、刑務所の中ではノンケでもごく普通に抵抗なく男相手にセックスをしているらしいのも驚きだった。

主人公の麻生や練もとても魅力的だが、韮崎の愛人だったシンガーの皐月や医者の奈美も素敵だ。彼らは経済的にも自立をしていてなんら韮崎に頼っていない。彼もふたりには一目置いている。

練は30もすぎた年だろうと思うが、麻生の前ではやたらと子供っぽく甘える様子が上手く描かれている。

もし映画化されたりしたら、麻生は真田広之、同僚で暴対の及川(おしゃれでゲイ)にはトヨエツあたりかな〜。練は窪塚洋介がいいけど、成宮寛貴ありか?