「ぬしさまへ」 畠中恵

ぬしさまへ
体の弱い若旦那と彼を守り取り囲む妖のシリーズ。
短編がいくつか入っているのだが、「仁吉の思い人」がよかった。
また寝込んでしまった若旦那、水分ものどを通らず、なんとかして薬を飲んでもらおうと手代の佐助が、薬を飲んだら仁吉の失恋話をするといって釣る。俄然やる気が出て苦い薬を一気飲みした若旦那にしぶしぶ仁吉が約束どおり話を始める。
かれこれ千年前くらいにさかのぼるのだが、仁吉の思い人は妖の女性で、彼女には恋人がいるが人間の恋人だった。妖と違い人間はいつかは死ぬ。そのたびに生まれ変わった彼を探し続ける彼女の側につきそう仁吉。恋心を秘めたまま一緒に彼を探し、彼女を支える仁吉が切ない。その恋の顛末も興味深い。
で、今仁吉は彼女のことは吹っ切れたのだろうか?

このシリーズはとても面白いのでテレビドラマとでやってくれないかな〜。