「ライフシフト-100年時代の人生戦略」 リンダ・グラットン

 

 この本が評判になり始めた時にはまるで興味なかったのに、

最近会社で60歳になって会社の働き方が変わった同僚がいて

急に自分の老後を身近に考え読みたくなる。

 

読んでいると人間の寿命はずっと延びていき人生100年時代が

やってくるから、今までの「教育→仕事→引退」という人生では

時間が余りすぎ、お金もかかるから70台後半まで働かないと

いけなくなるなど、最初からどっしりと落ち込む。

でも長くなる人生でいろいろなことを経験できるチャンスが

増えるから途中で再度教育を受けたり、いろいろな土地を

長期に旅行したり、自分で起業したりするべき。

人的ネットワークを広げ自分とは全く違うタイプのロールモデル

見つけ新しい生き方の選択技を知ることが大切らしい。

 

昔の人より今は10歳くらい若くなっていると思うが、

その幅がさらに進んで昔より20歳くらい若くなる時代も近いのかもしれない。

この本でも寿命が延びると言っても寝たきりで何十年も寿命が延びると

いうより健康な期間が長くなるという解釈だ。

実際今の60歳台は老人という感じではないし・・

 

とにかく60歳以降をどう生きるのか今から準備が必要だ。

映画「ドリーム」

 

ドリーム (字幕版)

ドリーム (字幕版)

 

 

英語のタイトルはHIDDEN FIGUREというらしいが、

日本語のタイトルはすぐに忘れてしまう。

 

NASAでのロケット打ち上げに貢献した黒人女性たちの物語だが

大変な数学の才能を持った黒人女性3人が人種偏見や女性差別など

さまざまな障害をはねのけ自分の仕事と信念にまい進する様子に

胸がすく。彼らは才能だけでなく、家庭もあり、子育てもしながら

おしゃれもしてヒールをはきマニュキュアも塗っている。

 

この中で人種差別も大変ではあるのだが、才能のある彼女たちに

向けられる男たちの嫉妬が一番醜く大変だ。

 

特別な才能がある人には果たすべき役割がある。

「初めて」の人になる責任もある。

いろいろな苦労もチャレンジもあったが、一緒に励ましあい

働ける仲間がいてこの時期に出会えたのは救いだ。

 

ジョン・グレンが陽気で勇気もあり公正な考えができる人として

描かれていたが後に女性宇宙飛行士の反対をしていたという話は

本当なのだろうか?

「ぐーたら女の成功術」 中園ミホ

 

ぐーたら女の成功術

ぐーたら女の成功術

 

 売れっ子脚本家の中園ミホさんのエッセイ集というか啓蒙本というか・・

 

彼女はなかなかドラマティックな人生で面白いのだが、

それに関してはテレビや他の媒体で見聞きしていたので

特に目新しいことはないのだが、

  • 運には賞味期限がある。運気のピークを上手に捕まえられる人が強運
  • 調子のいい人のそばにいくとその人からいい運気が流れる。

 

古舘伊知郎トーク番組のゲストで見てから私が好きな歴史学者の磯田道史が

エピソードに出てきてちょっとうれしい。

やはり彼は魅力的だよな~。

映画「奇蹟がくれた数式」 

 

奇蹟がくれた数式 [DVD]

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 とても面白い映画だった。

 

インド人の数学の天才の青年がインドの田舎からケンブリッジまでたどり着き

イギリス人の数学者ととも自論の発表のためにささげた日々を描く。

 

based on true eventとあってこういう話はやはり魅力的だ。

フィクションもあるだろうが、出てくる登場人物も実在だったりして

親近感と興味がわきやすい。

 

主人公のインド人の青年はインドの田舎で狭い共同体の中、昔ながらの

しがらみや考え方に縛られて生きているのだがやっと伝手を見つけて

イギリスに向かう。

インドの田舎の風景も美しいのだが、まるで秋野不矩の世界だった。

 

トリニティカレッジの様子も数々の映画で見た景色で美しく

芝生を横切っていいのはフェローだけっていうのも面白い。

今でもそうなのだろうか?

 

主人公を育てて教育し友情をはぐくんでいく教授にジェレミー・アイアンズ

演じるがファッションがスタイリッシュでおしゃれ!

ちょっと枯れたイギリス人のおじさまの魅力全開。

彼は人付き合いのあまりしない取っつきにくい人なのだが、

彼の友人のリトルウッドは明るくて社交的で救われる。

このリトルウッドの役者さんは現代版ホームズでサイコの役で

見た気がするな~。

 

インド人ということもあり閉鎖的なトリニティではまるで相手に

されない日々にだんだんと落ち込んでくる主人公だったが、

圧倒的な才能に関しては薄々は認めつつある周りの教授たちだった。

トリニティで排除される様子に数学者というのは圧倒的な

才能に関しては祝福を送り、人種や階級などの壁もあまり

気にしないのと思っていたので排他的な様子にちょっと驚く。

 

そしてトリニティではお互いをlast name呼び捨てというのも

新鮮。そういえばイギリスの大学を描いた他の映画でも

そうだったと思い出す。

バートランド・カッセルも出ているのだが、彼だけは

「バーディ」って呼ばれていた気がするのだが・・

 

エンドクレジットを見ていたら、プロデューサーの名前に

日本人名がいくつか連なっていたがどういう関連性があったのだろうか?

それも興味深い。

映画「亜人」  TOHO CINEMAS SHINJUKU

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IMAXで見ましたで。

 

健が助けてもらった佐藤と対峙することになったのが唐突な気がしたが

ヒーローらしからぬ普通っぷりがいい。

山奥で暮らす吉行和子に逃げてきた健はかくまわれ数日過ごすのだが

吉行さんを見て、とんねるず保毛尾田保毛男を岸今日子と姉妹役を

やっていたことを思い出した。大好きだったが最近30年ぶりくらいで

最近テレビで復活したのを時代にそぐわないとか差別的と大炎上と聞いて

世知辛い世の中になったと感じる。

 

玉山鉄二厚労省官僚なのだが、彼の記者会見を見ると「ハゲタカ」を

思い出す。城田優も長身で黒の衣装が凄く似合ってかっこいい。

 

MX4Dで見てみたいが、酔っちゃうのかな・・

「影裏」 沼田真佑

 

影裏 第157回芥川賞受賞

影裏 第157回芥川賞受賞

 

 芥川賞受賞作品で図書館で借りたがあっというまに読むことができた。

 

震災にまつわる話ではあるのだが、派手な事件が起こるというよりも

日常の延長の震災という感じでむしろそれがリアルではある。

 

文章が装飾的で難しい漢字も多用されておりルビがなくて読めないものもあった。

 

主人公は医薬品会社に勤めており、釣り仲間だった日浅との釣りの日常から

彼が退社して以来疎遠になり、震災後行方不明になった日浅を探す。

読者は話が進むにつれ日浅の影の顔のようなものを知らされていく。

2人で楽しく釣りをしているころに「彼は生まれてくる時代を間違えたように

みえる」という感想を主人公は抱く。江戸時代に生まれていたら磯に小舟を

浮かべて海岸線を計測したり云々。

彼は浮世離れしているようでも、実は誰よりもしたたかであるようでもあり

つかみどころなく感じるが、時代を間違えたというのはすごく印象に残った。

 

出てくる小物やおつまみなどがいちいちおしゃれで

ただのリーマンではないと感じさせる主人公なのがゲイを感じた。

 

「熱氷」 五條瑛

 

熱氷

熱氷

 

氷山ハンターの石澤は姉として育った朱音の突然の訃報でカナダから10年ぶりに

帰国をするが、彼女の遺児の光晴を誘拐され犯罪に巻き込まれる。

 

なかなか面白い。

主人公の石澤は安定感のある主人公然としており、大人でユーモアも

可愛げもあり信頼できる。ただ光晴のために犯罪も辞さない姿勢に

まわりがハラハラさせられる。

 

誘拐された光晴も途中から思いがけず危機的状況に拍車がかかり

ドキドキされされるし、真犯人が意外な人とわかりかけるところは

残念に思ったり最後まで飽きずに読み切れる。