「
武曲の方は融が主人公なのか研吾が主人公なのか読む人によって変わるという
感じだったが、こちらははっきり融の青春物語になっていた。
前作は剣道の話にかなり寄っていたが今作は日常生活や若者らしい悩みなど
を描いているので読みやすい。彼女ができたり、受験があったり、光邑さんが
脳梗塞になったり・・
研吾は真っ当な人になっていた。
融は虹郎であっている。
演出が福田雄一だったのでてっきりオリジナルかと思ったら実はメル・ブルックスの
作品と聞いて驚いた。いつもの福田節炸裂だったので・・
小栗旬が主役でフランケンを生んだ博士の孫、いまやニューヨークに住む彼が
祖父の遺産の整理などで故郷に戻ることになってからの騒動を描く。
毎度おなじみムロツヨシも大活躍で、最近福田組常連の賀来賢人も
面白い。賀来賢人はちょっと濃すぎてしつこいと思うことが多かったのだが
この作品での背むしのアイゴール役はスパイスも聞いていて物語を
盛り上げていた。
小栗旬も歌を歌い踊りも踊りがんばっていた。
普段はなかなかチャンスがないミュージカルだが面白くて楽しいかも。
特に歌や踊りの上手チームもきちんといてそのシーンは安定感がある。
婚約者のエリザベス役の瀬奈じゅんもすごく迫力があり舞台慣れをしていると
感じた。
ネットでは可愛いという評もちらほらあったので世間での評判は
さほど悪くないのかも。
曲もなかなかキャッチーだと思ったが、ヒャダインとかで
ミュージカル作ったら面白そうだ。
舞台が始まる前に楽器をチューニングする音が聞こえたので生演奏なのかと
思ったら、バンドはなく、音もマイクを通しているのでなんとなく違和感があった。
2幕が始まるときもチューニングが聞こえて不思議に思っていたら
カーテンコールで裏舞台があいてバンドが出てきた。やはり生だったのね。すごい。
ロビーにはお花がいっぱい来ていて大森南朋から旬君にも届いていた。
向井理からみなさんへと来ていたのもちょっと意外だったり。
そして古田新太が見に来ていた。
すごく実験的な小説だ。
主人公は日がな本ばかり読んでいる資産家だけど普通の男性。
彼が読んでいる本の物語が綴られ、彼が現実に引き戻されるタイミングで
唐突にお話が中断されるの、一緒に現実に戻る気分が味わえる。
特別な事件が起こるわけでもなく、彼の周りのちょっと変わった人々の日常が
淡々と描かれ、淡々と終わる。
古代エジプト、東洋美術、現代などいろいろあったが、
一番面白かったのはフランス絵画だった。
ミレーの「洋梨」は黒っぽい大ぶりの洋梨が全面的に描かれているだけだが
存在感があり画面もキラキラ光っており面白い。
シスレーの「サン=マメスのラ・クロワ=ブランシュ」もなんてことない
風景画だが、ずっと見ていたくなる不思議な魅力がある。
シスレーは静物画の「卓上のブドウとクルミ」も面白かった。
モネの作品はいまさらと思っていたが、「くぼ地のヒナゲシ畑、ジベルニー近郊」では
むせかえるような草いきれが感じられるし、「アンティーブ、午後の効果」では
海の色がまさに地中海色、「睡蓮」も見飽きたと思っていたが、
水面に浮かぶ睡蓮から周りの情景まで目に浮かぶ。
ゴッホの「郵便配達人ジョゼフ・ルーラン」とルーラン夫人の像も面白い。
ゴッホの絵はポストカードと違って本物の絵はどこがどうという説明は
できないが迫力というか色合いというか面白いなといつも思う。